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佐竹台8丁目25番地―12

「かち」('05/03/27)

「かち」について、考えさせられる試合だった。

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前日、Bsの開幕戦をインボイス西武ドームで観戦したその翌日。

平野台さんと共に、インボイスと迷った挙句、
千葉マリンスタジアムの方に行くことにした。

理由は2つあった。
1つは、私がその日のうちに岡山へ帰らなければならなかったのだが、
羽田へのアクセスが千葉マリンの方が良いこと。

もう一つは、興味深いイベントが試合前に行われることを聞いていたからだ。

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海浜幕張駅に到着すると、
パリーグ開幕前から噂になっていた、
マリーンズがイーグルスに堂々と喧嘩を売ったポスターに遭遇した。

喧嘩売り@海浜幕張

この前日の開幕戦は、イーグルスがマリーンズを下し、
(スコアこちら)
歴史的初勝利を既に挙げていた。

しかし、撤収されることなく、ポスターは掲出されたままであった。

昨日の帰り際、マリサポはこのポスターを恨めしく思ったのだろうな、
と思いつつ、球場へと歩いた。

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試合開始45分位前に、球場に到着。
しかし既に、
「外野席は満席のため、入場できません」との表示が出されていた。

私と平野台氏は、2階内野席、やや3塁側に陣取った。

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試合前の「大イベント」の前座。
チアリーダーはいつもより多めだった。

チアリーダー、いつもより多めで

しかし、「私が今日、ここに来た目的」のイベントはまだまだ。

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続いて、マリサポの代名詞、ビッグフラッグが登場。
ドラゴンクエスト2の「パスワード入力」のときのメロディーに乗せ、

「俺達の誇り 千葉マリーンズ どんなときも俺達が付いてるぜ
 突っ走れ 勝利のために さあ行こうぜ 千葉マリーンズ 
 ラーララーラー ラーラー♪」

の音楽を歌いながら、フラッグが揺れる。
マリサポの代名詞

そして、今年からの新バージョン。
ビッグフラッグの下に、小さな黒いフラッグを隠しておき、
撤収後にその黒フラッグが出現する、という
「新技」を披露してくれた。
今年からの新ver.?

でも、まだまだ、今日の目的イベントでは無い。

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そうこうするうちに、ついに、今日のメインイベントが始まった。

この日は、1974年、まだ「ロッテオリオンズ」だった時代に
日本一になったメンバーが、
試合前に集合する、というイベントである。

スクリーンには、当時の様子が映し出された。
私が生まれる前の出来事

ロッテだけが、昨年までは1977年生まれの私が生まれてから唯一
リーグ優勝をしていない球団だった。

しかし、今年からは、2球団に増えたのだな、と感じながら見ていた。

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そしてさらに粋な演出が。

それは、当時のナインの紹介を、
佐々木信也さんが行ったのだった。
Mr.プロ野球ニュース・佐々木信也氏

私が小学生低学年の時代、プロ野球ニュース、といえばこの人だった。
(夜8時までに寝させられていたので、生では見られなかったが・・・。)

佐々木さんが球場にアナウンスする。
「私はオリオンズには2年間しか在籍しませんでしたが・・・」

このコメントを聞き、私は、
昔、この人はアナウンサーだとずっと思っていたのだが、
母方の祖父に「元野球選手だったんだよ」と教わったことを思い出した。

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ナインが一人ひとり、紹介されていく。
ライト・得津。この方は私は「名前だけは聞いたことがあるな。」
センター・弘田。私にとっては「'85年のTの2番打者」のイメージが強い。
レフト・長谷川。・・・存じませんでした。
ショート・飯塚。・・・同じく、存じませんでした。

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そしてサード・有藤。この方は知ってます。背番号8の「ミスターロッテ」。
平野台さんに「大卒初の2000本安打達成した人」と紹介したら、
「長嶋茂雄は?」と反例を出されてしまい、
「パ・初の」と慌てて訂正した。
(後日、調べたら「パ初」は合っていました)

セカンド・山崎。この方も有藤と並ぶ「名球会会員」として、名前は存じてました。
ファースト・新井。・・・存じませんでした。
キャッチャー・村上。・・・私にはロッテのキャッチャーの最古記憶で「袴田」なので、
この方も存じませんでした。

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この8人が紹介されたところで、この日のマリーンズの先発オーダー発表。
現役選手たちが守備位置に付く。

同じ背番号8番のサード、今江-有藤が何か話していた。
新旧サード・背番号8

今江も、将来、有藤のような「ミスターロッテ」となるのだろうか?
そういうことを考えていた。

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スタメン発表の後、日本一メンバーの投手が発表された。

有藤・山崎と並ぶ名球会会員。そして投手の「ミスターロッテ」、
村田兆治だ。

この日の始球式は、彼が務める。

投球練習を行う。
マサカリ
相変わらずのマサカリフォームだ。

「捕手の村上が、村田の速球に恐がっています」と
佐々木信也氏のツッコミが入る。

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そして試合開始前。
まずライト得津がボールを持ち、
それをセンター、弘田に送る。
そしてレフト長谷川、ショート飯塚。
ノーバウンドで送球される。

しかしショート飯塚からの送球を、有藤が見事に後逸。
オイオイ。

何事も無かったかのように、その後、
セカンド山崎、ファースト新井にボールが渡り、
新井が受け取ったボールを、当時の監督・金田正一が受け取り、
村田兆治に手渡した。

始球式。

速球がうなった。

スコアビジョンには「140km/h」という、試合前から準備されていたであろう
「真実ではない」「水増しされた」数値が表示されていたが、
平野台氏によると、バックネット裏に示されるkm/h表示では、
130km/h台の数値が出ていたらしい。

そのボールを受けた、この日のMの先発投手、渡辺俊介投手よりも
速い球を投げ込んでいた。
(↓写真はその俊介。勿論「投法の違い」は考慮すべきだが)
潜水艦

今まで私が見た中で、一番「深みのある」始球式イベントだった。

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EファンでもMファンでも無い私にとって、
このイベントを見ることで、
この試合の価値は既に半分は達成されていた。

しかし、残りの半分、この試合の勝負、采配を
考え、そして楽しもう、という気持ちをこの時点では持っていた。

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が、それは叶わなかった。

なぜなら、2回の裏終了の時点で、E0-13Mとなってしまったからだ。

この2回の途中で、この試合の勝ちは決まってしまった。
その時点で、この試合は価値を失った、と感じた方も多かったかも知れない。

しかし、観戦していた私は、まだ価値は失われていない、と思っていた。

それは、下の写真をご覧いただきたい。
誰か!!タオル投げてあげて!!

4回表に、先頭のE関川に粘られて四球を出したものの、
M渡辺俊介が手が付けられない位好調で、
「ノーヒットノーラン」の可能性を感じていたからだ。

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しかし6回表。
Eの捕手・長坂が、私にとってのこの試合の価値を失くしてしまった。

センター前にヒットを打ったのだ。

EのスコアボードのHの欄の0が1に動いた。

後は、帰るタイミングを計っていた。

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7回表。0E-M19となっていた。

Eの応援歌が球場に流れた。

前日のBs観戦会の時にミスチルファン1974さんから噂は聞いていたが、
作詞・作曲が浪花のモーツァルト、キダ・タロー?と疑いたくなるような
センスのかけらも感じられない曲だった。

・・・このチームのファンにはなれないな、と正直感じた。
一番応援している選手は在籍しているけれど。

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でも、7回の表まで残ったのは理由があった。
それは、途中で守備に入った、
'96年から'04年まで9年間元BWに在籍した
大島公一選手の打席を見たかったからだ。
(↓写真は守備に付く大島選手)
チーム一の小兵

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大島選手は打順が回ってくると、
それまでテンポ良くポンポン投球していたM渡辺俊介に対し、

右手を広げて「待った」をかけて、
左足でバッターボックス内の土を削り、
そして左足で土をならした後、
打席に入った。

その後、1球ごとに、打席を外し屈伸運動等で
必死に渡辺俊介のリズムを崩そう、としていた。

1-1からの3球目、カットしたボールがスタンドまでは届かず、
結局三邪飛に倒れてしまったが、
その仕草を見るだけで充分だった。

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韓国語・朝鮮語で「一緒に」のことを「カチ」と発音する。

この試合で、この展開で、私が一番「一緒に」を感じたシーンは、
この大島の打席だった。

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7回表を終えて、帰路に着いた。

この時間で帰っても、羽田で1時間以上待つことは分かっていたが、
限界だった。

それは、今までずっと9年間「一緒に」の「カチ」を感じていた選手が、
「カチ」を感じられないチームに所属している、という
哀しさを感じたからだった。

もう勝ちが決まり、価値を失ってしまった
哀しいこの試合を見続ける位なら、
羽田で飛行機の時間待ちをしたほうがマシだ、と思った。

観戦に誘った、平野台さんに申し訳ない、と思った。

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普段の試合観戦後は、心地よい疲労感が残る。

勝てば「嬉しい」の気持ちが残る。
負けでは「悔しい」の気持ちが残る。

でもこの「悔しい」は、
次の勝ち試合を見たときの「爽快感」でみそぐことができる。

しかし、この試合では
「空しさ」と「哀しさ」しか感じることが出来なかった。

この試合のスコアこちら

この後の一週間は、しんどかった。
多分、体力的なものだけではなく、
この「空しさ」と「哀しさ」が、私の体を重くしていたのだ、と思う。


['05/04/03]


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